日本は、中国より大きい!(会長コラム)

 全国の高校生約400人に地図を示して日本の国境を描かせる調査を行った。

 南方の国境の正答率は 26.3%の105人。北方の国境は正解者59人(14.8%)で、日本海の国境を 正解したのは37人(9.3%)。全問正解者はわずか7人(1.8%)だった。

 これは高校生に限ったことではないだろう。 今の日本人で、自国の国境を正確に知っている人は…、残念ながら少ないのが現状である。 実は、竹島や尖閣諸島、東シナ海ガス田問題の根幹が、ここにあると思っている。 日本という国の「領域」は? 事実の確認と周知が必要だという思いを込めた、コラムである。

 

 「ロシアは、日本の面積の45倍、カナダ、中国、アメリカは約25倍もある。日本はとっても小さな国だ」 学校教育の中で、確か、そんな風に、教えられてきたように思う。 日本の総面積は 377,929.99 km2。世界の国の「平均面積」を計算してみると、約70万km2。 確かに、日本は平均の約半分(54.3%)、世界第61位と、極めて「小さな国」に分類されるのだろう。 しかし、よくよく見ると…、『ロシア、カナダ、中国、アメリカ、ブラジル、オーストラリア、インド、アルゼン チン』の、上位8か国だけで、世界の陸地面積の50%を超えてしまうのだ。

 

 日本より大きな面積の国、アジアの中では『中国、インドネシア、モンゴル、ビルマ、タイ』である。 ヨーロッパの国では、『ロシア、ウクライナ、フランス、スペイン、スエーデン』の 5 つしかない。 ロシア、ウクライナを除く、純粋ヨーロッパでは、日本より大きな国土を持つ国は 3 カ国しかない。 日本より国土面積が小さい国は、実は数多く存在する。 『ベトナム、マレーシア、フイリッピン』など全部、日本より一回り小さく、『韓国』の国土は日本の四分 の一以下の面積である。『ドイツ』など東西合わせても日本より小さい(35万6千km2)。また、『フイン ランドやイタリア、イギリス』も日本より国土は小さい。『オランダ』、『スイス』は、国土面積4万1千km 2台でほぼ同じ、付属島嶼を含む九州全体(約4万2千km2)と、だいたい同じ大きさの国となる。

 

 領土を「国家の領域」つまり国家の統治権の及ぶ区域と捉えると、驚きの事実が見えてくる。 確かに日本の国土面積は狭いかもしれないが、日本の「領海と排他的経済水域(EEZ と略す)」を合わ せると約 447 万 km2、世界第 6 位となり、その広さは、中国の4、5倍もある。 日本の「領海と排他的経済水域(EEZ)と領土」を合わせれば、世界第9位の大きさとなる。

 

 実質的な日本の国土は「国土面積38万+海域(接続水域)32万」=70万km2なのである。 この数字は『ウクライナ』(66万km2)、『フランス』(55万 Km2)、『スペイン』(50万km2)の陸地面積 より大きい。更に、「領海と排他的経済水域及び延長大陸棚海域を含む面積」は465万km2で、『ア ルゼンチン』(278万km2)、『インド』(330万km2)の陸地面積よりも、はるかに大きいことになる。 また、『満州やチベット、新彊、内モンゴルなどの外地』を除いた、いわゆる「本来の中国の面積」は、 350万km2といわれている。

そうであれば…、日本は『実質(?)中国』の面積より大きいということになる!

 

 

 【参考資料】 領海等に関する用語

■注:以下の記述は、あくまで一般的な場合の説明です。厳密な定義は法令等を参照してください。

内水

領海の基線の陸地側の水域で、沿岸国の主権が及びます。 但し、直線基線が従来内水とは見なされていなかった水域を内水として取り囲むこととなる場合に、 外国船舶は無害通航権を有します。

 

領海

領海の基線からその外側12海里(約22km)の線までの海域です。 沿岸国の主権は、その領土及び内水に接続する水域で領海に及びます。また、領海の上空並びに領 海の海底及びその下にも及びます。 但し、外国船舶は無害通航権を有します。

 

接続水域

領海の基線からその外側24海里(約44km)の線までの海域(領海を除く)で、沿岸国が、領土・ 領海の通関上、財政上、出入国管理上(密輸入や密入国)、衛生上(伝染病等)の法令違反の防止及 び違反処罰のために必要な規制をすることが認められた水域です。

 

排他的経済水域(=EEZ)

領海の基線からその外側200海里(約370km)の線までの海域(領海を除く)並びにその海底 3 及びその下です。 なお、排他的経済水域においては、以下の権利が認められています。

 1.天然資源の開発等に係る主権的権利

 2.人工島、設備、構築物の設置及び利用に係る管轄権

 3.海洋の科学的調査に係る管轄権

 4.海洋環境の保護及び保全に係る管轄権

 

公海

いずれの国の排他的経済水域、領海若しくは内水又はいずれの群島国の群島水域にも含まれない海 洋のすべての部分です。

 

大陸棚

領海の基線からその外側200海里(約370km)の線までの海域(領海を除く)の海底及びその 下です。 なお、大陸棚においては,以下の権利が認められています。

 1.天然資源の開発等に係る主権的権利

 2.人工島、設備、構築物の設置及び利用に係る管轄権

大陸棚は原則として領海の基線から200海里ですが、地理的条件等によっては海洋法条約の規定 に従い延長することが出来ます。

 

深海底

人類共同の財産であり沿岸国の主権、主権的権利は及びません。

 

     日本の領海等概念図

大陸棚 なお、本概念図は、外国との境界 が未画定の海域における

                                                                地理的中間線を含め便宜上図示したも のです。

 

 

 

排他的

国土面積                                               約38万 km2

領海(含:内水)                                           約43万 km2

接続水域                                               約32万 km2

排他的経済水域(含:接続水域)=EEZ                             約405万 km2

延長大陸棚※ 約18万 km2 領海(含:内水)+排他的経済水域(含:接続水域)    約447万 km2

領海(含:内水)+排他的経済水域(含:接続水域)+延長大陸棚※           約465万 km2

   ※ 排他的経済水域及び大陸棚に関する法律第2条第2号が規定する海域