「数字」のマジック&トリック効果(会長コラムより)

難しい数学や化学式ではなく、我々は日常的に「数字」と向き合うことが多い。

「Aスーパー:現金でお買上の時、全品4割引きです」・・・と「Bスーパー:現金でお買上の時、6割分の当店の商品券を還元します」・・・とでは、どっちは得だろうか?

あるいは、量販店でよく見かける「10%ポイント還元」と「10%割引」はどっちが得?

数字が持つ不思議な心理効果を活用したマーケティングは、消費者行動を左右する場合がある。

今回はそんなマジック&トリックを、いつくかご紹介しよう。

 

端数効果の「8」と「9」~ 単価が830円の商品を、799円まで値下げした!

数字を使って説得するときは、切りのいい数字よりも、端数を利用したほうが信憑性があると言われている。「0」や「5」などの数字をあまり使わず中途半端な数字を並べたほうが信じてもらいやすい。

特に、驚くほど端数には「8」と「9」が多く、価格の端数を8か9にすることによって.「お得感」が増し、販売数が圧倒的に増えたという科学的実証もされている。

日本では、「八」という数字が末広がりで縁起が良いとされているため、端数に「八」を使うことが多いようである。

 

アンカリング効果~ 通常価格58,000円 → 特別価格30,000円

最初にある数字を示されると、無意識にそれが基準(アンカー)となってしまい、その後の判断で影響を受けてしまうというもの。

例えば、30,000円のコートがあった場合、通常であれば顧客は製品の品質や利用価値に注目して、価格に見合ったものかどうかを検討して購買行動を行う。

ところが、「通常価格58,000円→特別価格30,000円」と表示することで、先に提示した通常価格58,000円という情報がアンカーとなり、30,000円という価格に対して「28,000円値引きされている」という判断がなされ、お買い得に感じられる。

高い数字が印象に残り、そのあとの商品を安く感じる効果と、こんな高い商品を扱っているんだから他の商品の質が高いだろう、と思わせる効果がある。

 

マジックナンバーとマジカルナンバー~ 「3」と「7」

マジックナンバーとは「良く分からないけど、この数字を使うと物事がうまくいく」・・・そのような数字。

それは「」という数字。「3」は、人間が認知する数で多寡の分岐点に位置して「ほどよい」バランスがあり、人間が最も理解しやすい箇条書きや項目の数であると言われている。

これと似て非なるものにマジカルナンバー「」(±2)というものがある。

人間が短期的に記憶できる限界とされる数は【7±2】であるというもの、短期記憶において人間が覚えられる記憶容量は7個まで、という法則が証明されている。

マイナンバー制の個人番号12桁は、とても覚えられそうにない。

 

数字のマジック、トリックを活用したマーケティングは、常に我々を狙っている。

この策に惑わされず、騙されず、賢い消費者でありたいと願っているが、逆も「然り」と思っている。

ちなみに冒頭の回答は、「Aスーパーの4割引き」、「10%割引」の方が得ということになる。