顧客満足度を高めなさい!ほとんどのコンサルタントがお題目のように唱えている。
至極当たり前の真理だが、実はこれを実現させるのは、なかなか難しい。
結論から言えば、個々の満足度を高めるということは、十人十色のお客様の我ままをすべて受け入れるということで、はなはだ現実的でないと思っている。
お客様との接客では様々なケースがあり、その時、お客様の心の中にどのような心理が働いているのか、その経緯を探ってみる。
最初のお客様心理は、「歓迎期待の心理」。
お客様は、お店の玄関を入った時から「気持ちよく扱って欲しい」という心理が働く。
そのお客様を自宅に招待したら、どのように接待するかに通じる心理で、フレンドリーで、ウェルカムに迎えなければならない事となる。
この段階をクリアしたお客様は、次に「独占期待の心理」が働く。
本来、サービスは全てのお客様に平等でなければならないのだが、お客様は、自分の用事が済むまでは、他のお客の用事を聞いて欲しく無い、私にだけ、集中して欲しいという心理が働いている。
極めて我ままだが、その我ままに、即座に対応出来る迅速性を身に付けておかなければならない事となる。
そして次のステップは、「優越感心理」と進展していく。
お客様は、自分は「他の客とは違う」という所を見せたい心理が働いてくる。
ここで一番重要な事は、お客様に劣等感を抱かせない事だ。お客様に恥を書かせない事、何としても「あなただけは違う」という特別な歓待を意識させることである。
それを見ていたお客様は、「まねしたい心理」が沸き起こってくる。これは、隣のお客様のものが良く見えるという誰にも働く心理のこと。注文を急に変更したりする時、この心理が働いている。
そんな時には、お客様の意向に合わせるのが対処のコツだが、いかにも厄介なことかも知れない。
そして最後、結果的には、「自分本位の心理」となる。お客様は、時として利己的で、自分さえ満足すれば良いという心理が働いている。不愉快なお客様、理不尽なお客様、機嫌の悪いお客樣など様々なお客様に合ったアプローチをしていかなければならないだろう。
ここまで来て初めて、お客様の満足度は俄然アップする。
お客様は十人十色、だがサービススタッフも十人十色。同じサービスをしていても、満足される方と不満な方もいる。決まった型のサービスは存在しないから、定義も法則もない。
コンサルタントが言う「顧客満足を高めなさい」とは、よくよく考えると「で、どういう意味?」と首をかしげたくなる、いわゆる思考停止を招く「マジック・ワード」。何をもって検証したらいいのか、お題目は何遍も聞くが、そこまで具体的に教えてくれる先生に、会ったことがない。
我ままがエスカレートしていく顧客満足度、
個々、一人一人に合わせた、最高の満足を提供すること、そんなことができるのだろうか?