いかに、プラシーボ効果に巻き込むか!(会長コラムより)

「この薬はどんな病も直してしまう薬だ」と言って、本来なら全く効果が無い物質を与えても、人間 の思い込み次第で効果が変わってくるということ、「病は気から」が科学的にも実証されている。

関係者には申し訳ないが、サプリメント(健康食品)の大部分、この「思い込みの効果」に依存して いると言われている。 ノンアルコールビールしかないコンパに参加した大学の新入生たちが、まるでアルコールが入っ たかのような陽気なはしゃぎっぷりも、一種、思い込みのなせる業(わざ)かもしれない。

 

この「思い込み効果」の事を、心理学では「プラシーボ効果」と呼んでいる。

プラシーボ(Placebo)とはラテン語で、「私は喜ばせる」に由来しており、薬効成分を含まないプ ラセボ(偽薬)を薬だと偽って投与された場合、患者の病状が良好に向かってしまうような、治療 効果を言った。それは、騙すということ以上に、患者を喜ばせることを目的としていた。

ブラシーボ効果の面白いところは、「思い込み」だけで終わるときもあれば、本当に効果が出ると きも有るということだ。

だから、プラシーボ効果の科学的解明は著しく困難で、生理学的にも心理学的にも、もっとも奇 妙で理解し難い現象のひとつと言われている。

プラシーボ効果の主体は暗示効果であることから、痛みなどの主観的な症状には効いても、血 液検査などの検査値には関係ないと思われがちだが、プラシーボによって、その検査値すら変 わることもあるという。

 

この現象は医学に限ったことではない。

与えられたミッションを、できると思い込むことから始めることの大切さ、これはビジネスや学術、 教育、文化や宗教等、人生あらゆるシーンであてはまる事例がある。

「できる、できる、絶対できる」…できると信じて、できるまでやり通す、その強固な思い込みと挫 けずにやり続ける行動力さえあれば、必ず成功するという哲学は、数多くの偉人たちも「名言」と して語り継がれてきた。

スタートが4D(「でも」「だって」「どうせ」「だめ」のネガティブ発想)から始まる人は、論外。

できることもできなくなり、悲しいかな日々老化していく人である。

出来る人の絶対条件は、この、思い込みの強さにあると言っても過言でない。

 

偏ってはいけない、まず冷静で、客観的な深い思い込みが必要だ。

自分の会社や商品を最高と思い込まなければ、お客さまの冷えた気持ちを沸騰させられない。

「この商品は素晴らしいです。必ずあなたのお役に立ちます」…このひと言が口から出せるか出 せないか、それだけでもお客さまの反応は違うはずだ。思い込みが強まるほど、営業マンの熱 気は高まり、この気迫が言葉に乗り移る。熱はお客さまに伝わり、意欲的にさせていく。

本人の思い込みが、究極的には、お客様を喜ばす(=プラシーボ)結果になる… こんなストーリーの展開も、プラシーボ効果の効用の一つかもしれない。

 

上司や幹部、経営者の役割は、いかにこのプラシーボ効果に巻き込むかに尽きる!