平等な税

 「いい案を思いついた!」

その言葉を聞いた瞬間、部屋にいた家族全員がテレビに視線を送る。言葉を発したのは自らの発案に満足した表情を見せる豊臣秀吉だ。私たちは地元群馬県が舞台ということもあり、NHK大河ドラマ「真田丸」を視聴しているのだ。

 ところで「いい案」とは何か。それは太閤検地だ。太閤検地とは、田畑の広さやそこから米がどれだけ採れるか、またその土地を持つ農民は誰かということを詳しく調べる制度である。以前は升の大きさなどがその国ごとでバラバラになっており、農民が納める税は平等ではなかった。それを改善し、平等かつ効率的な税制度へ改めたのだ。今でこそ日本国民は「税は平等に納め、役立つもの」という認識を持つことが当たり前となっている。それは国民の三大義務の一つとして納税の義務があるからだと思う。しかし、豊臣秀吉の時代では画期的な考え方であったであろう。このように税については昔からどのように納めるべきなのか、永遠のテーマにように話し合われてきた。近年も税についてよく議論がされ、ニュースを賑わせている。最近では消費税を十パーセントにすることを見送る結論をしたことが話題になった。

 そこで改めて「平等な税」とは何なのか考えてみた。昔の税は祖・調・庸などの農民だけが納めるものであり、一律三パーセントの課税がされていた。それは一見すると平等のように見えるが実際には低所得の人により重い負担がかかるというデメリットもあった。では、今の税はどうか。調べてみると平等という考え方に対して様々な税があることに気付かされた。私はその中から所得税と住民税に注目してみた。所得税には、累進課税制度が使われており、支払い能力に応じて公平に税を負担する仕組みになっていて一人一人の所得に応じて5~45パーセントの税率が設定されている。住民税は住んでいる都道府県や市町村に納める税金で平等に負担する均等割と前年の所得に応じて負担する所得割から成り立っている。どちらも所得に対して公平な税負担によって出来るだけ「平等な税」となるように考えられているのだろう。

 私たち国民はもっと税に関心を持ち、税の納め方、活用法など興味を持つべきだ。「納税は損だ」と感じている人がいると聞いたことがある。正直私もただなんとなく納めるという感覚だけでは平等はおろか、税に対して不信感が募ってしまうようで、難しい問題だと感じてしまう。だから、納税を「当たり前」だと思わず、過去に倣いながらより良い税制度を考え続けることが国民一人一人にとって大切なのだと思う。もちろん数々の苦難を切り拓いた豊臣秀吉のように偉大なことは残せない。だからこそ当事者意識を持ち、正しく税を納めるこの「当たり前」をきちんと果たしながらその大切さを周囲に広めていきたい。