社会保障と税

 みなさんは現在日本が消費税を八パーセントから十パーセントに引き上げようとしているのを知っていますか。先日の伊勢志摩サミットの時に、十パーセントに引き上げられると思っていましたが、それを二年半延期すると発表されました。私たちにとって、消費税増税が延期されることは、お金に少しでもゆとりが出来るため、とても助かることだと思っていました。

 日本が消費税増税をする本来の目的は、これからますます重要になってくる社会保障の充実をはかるためでした。日本は国の借金がぼう大にあるのに、この先、たくさんの高齢者を支えるためにと考えられた消費税増税が見送りになってしまうと、借金をたくさん抱えている中で、どこから支援したらよいのかわからなくなってしまいます。

 私の祖父は、今年七十五歳になり、後期高齢者医療制度の対象となりました。驚いたのが保険料の負担額でした。会社を退職して、今は年金で生活している祖父が、年間十万円以上もの保険料を負担しているのでした。この医療制度は、高齢化に伴う医療費の増大が見込まれる中で、六十四歳以上と高齢者の負担の公平化を図るために作られたものですが、実際は保険料の増額で負担が多くなり、その負担額をおさえるためには医療水準を下げなくてはならないという問題が出てきています。

 私は普段病院にかかることはあまりないですが、時々病院に行くと、祖父と同年齢くらいの高齢者を多く見かけます。そのような現状を見ると、病院を頼りにしている高齢者はたくさんいることがわかるので、医療の質を下げてしまうと、病院の信頼がなくなるし、高齢者も病院を頼らなくなってきます。すると、大きい病気にかかっていることに気付かず、手遅れになることもあり、世界に誇れる日本の平均寿命も短くなってしまい、社会に大きな影響を与えてしまうかもしれません。

 高齢者の医療費は年々増加しています。改善するためには、出生率を上げて、労働人口を増やせば国の税収も増加するので、それを医療費に回す事もできますが、現在の日本では難しい問題だと言われています。

 後期高齢者を含む社会保障の充実のためには、国民全体として、財源不足とその確保をどうするべきかを考えて、始めの計画通りに消費税を増税すれば、安定した税収が見込めると思います。多くの人は、自分たちの負担が増えるだけだと思うかもしれませんが、社会保障の将来を考えれば必要不可欠な事なのではないでしょうか。