感謝の気持ち

 「この先 行き止まり」今年五月、私の家の前の道路の入り口に、この標識が設置されました。この道路は大変狭く車一台がぎりぎり通れる幅で、道路の先は行き止まりになっています。設置前は、行き止まりになっていることを知らない車が何台も入ってきて、その度に私の家の敷地に無断で入りUターンしていきました。その中には、私の家のポールやプランター、フェンスを壊していく車もいてとても迷惑していました。

 母が市役所に相談したところ、すぐ場所を確認し標識の設置をして下さいました。そのおかげで、Uターンの車が減り安心した生活を送ることができるようになりました。この時初めて、みんなが納めた税金によって私たちの様々な生活環境が整えられていることを母から聞き、税金のありがたさを感じました。

 昨年六月十六日、宇都宮市では局地的に非常に激しい雨が降りました。その影響により、私の家から見える八幡山の斜面が、幅七メートル、高さ三メートルにわたって崩れ、斜面の下の空き家が全壊する土砂崩れが起きました。付近の住宅三十人位の方が避難をし、心配な日々を過ごしました。私は自分の家に土砂が流れ込んできたらと思うと不安でたまりませんでした。

 一年後の今年の夏、私の家の近くの山の斜面も、雨が降って再び被害が出ないように防護壁の工事が行われました。雨の度に土砂崩れが起きないか家族で心配していましたが、安全な毎日を過ごせるようになり喜んでいます。こうした安全対策も税金によって行われています。私は実際に身近なところで税金が使われていることを知り、重要な役割を果たしていることを感じました。

 私たちは予防接種や、医療費、公園や学校、図書館などの施設や、教科書の無料配布など、小さい頃から現在までの十五年の間にも、たくさんの税金にお世話になっています。しかし、それが当たり前になってしまっていて、税金によってもたらされていることを知らなかったり、知っていても忘れてしまっているのが現状だと思います。

 もし、これらの資金の土台となっている税金がなくなってしまったらどうなるのでしょうか。火事になったり急病人がいても誰も助けてくれず、警察官がいないので街の安全も守れません。税金によって快適で安全な生活ができることに感謝するとともに、税金なくして私たちの豊かな生活はないと思いました。

 自分が払った税金がめぐりめぐって私たちのもとへ「安心」という形で戻ってきます。私が払った税金がみんなのために使われ、みんなが払った税金が私のために使われ、「税金を払う」という形で私たちは助け合っています。税の制度に守られた安心できる幸せな暮らしをこれからも継続していくために、私たち一人一人が納税の意味を理解し、税金の使い道を考えていかなければならないと思いました。