幸せな国である理由

 「すごく良かったよ。テレビで見るのと自分の目で見るのとでは見え方が全然違うからね。一度行ってみるといいよ、世界観が変わるから。」

 ヨーロッパでの新婚旅行の思い出をこう話す両親。それを聞いて、いつかヨーロッパに行ってみたい、と思うようになった私。税に関心がなかった私に、税について考えるきっかけを与えてくれたのは、そんなヨーロッパへの憧れだった。

 ヨーロッパの消費税は高い、ということをちらっと耳にしたことがある。調べてみると、北欧のスウェーデンやデンマークでは消費税が二十五パーセントもあり、私は単純に衝撃を受けた。これほど高い消費税がある中で、国民は生活していけるのだろうかと不安に思ってしまうほどだ。

 しかし、これからの国々の税の仕組みは上手くできている。スウェーデンでは、対象とするものによって税率が異なっている。つまり、全てのものに二十五パーセントの税がかかるわけではないということだ。例えば、食料品や交通費には十二パーセント、書籍や新聞には六パーセント、という具合に。

 北欧の国々では、こうして得た税金によって社会保障を充実させている。ただ税金を多くとっているわけではなく、それがしっかりと国民の元へ目に見える形となって返ってきているのだ。

 その影響からか、それらの国の国民は、自分の国が幸せだと感じ、誇りを持っているという。実際に、国際連合が行った「国民の幸福度」調査による国別ランキングでは、上位十か国の内、五か国が北欧であるというデータも出ている。

 なぜ、北欧の人々はこんなにも幸せを感じているのだろうか。それは、それぞれが納めた税が、自分のために使われ、人の役に立っていることを肌で感じられる環境であるからだと私は思う。日本に、税金を納めることに疑問を持っている人がいるのは、納めた税がどこでどのように使われているかが分からず、税を身近に感じられないからではないだろうか。

 私は、税金の使い道を国がより明確に提示していく必要があると思う。それと同時に、国民である私たちが、税の使われ方について関心を持ち、理解していく事が大切だと感じた。

 幸せな国とは、そこに住む全ての人が助け合いの精神で繋がり、政府と国民が互いに信頼し合うことができる国ではないだろうか。そのためには、まず私たちが税について真剣に考え、自分の意見を持つことが重要だと思う。これからの社会をつくっていくのは、私たちであるのだから。