「中学生の視点で考える税金」

 「租・調・庸」。これは奈良時代の税だ。これらの税は農民の重い負担となったことを学んだ。現在にいたっても、税金に対するイメージは、あまり良いものではないと思う。僕もその一人だった。つい最近までは。

 僕の町に新しい図書館ができた。とても広く、開放感がある施設だ。受験生になった今、そこで勉強することがある。涼しく、静かでこんなに良い環境で勉強できることをうれしく思う。僕は、小学生の頃、父に連れられてよく市の図書館に行った。その頃は本が無料で借りられることを疑問に思ったことはあったが、調べようとは思わなかった。だが、この機会にあたり税金について調べてみて、税金によって支えられていることの一つが図書館だと知った。図書館の経費は全て税金といえるほどである。子どもの頃は無料にしか見えなかった本の貸し出しは本当は税金により成り立っていたのだ。

 また、僕はスーパーサイエンスハイスクールに指定されている高校へ体験入学に行ってきた。設備や実験器具などが整えられ、より良い環境で取り組めると生徒や先生たちが言っていた。その高校に行くことになったら、もっと税金のありがたさを実感するだろう。

 僕は、三年前消費税が五%から八%に増税になったとき、正直うれしくなかった。お金を多く払わなければなくなるという感覚しかなかったからだ。でも、今は違う。税金は僕たちの生活の中でしっかりと生かされていることを身をもって知ったからだ。図書館で本を借りたり、勉強ができるのは税金のおかげなのだ。また、私たち中学生は、教科書を税金により無償で提供されている。だから僕は今しっかりと勉強してそれに報いたい。また、給食費などは補助金という形で税による支援を受けている。だが、その裏には、税金を納めてくれる納税者がいることを決して忘れてはならない。

 僕は、今中学生。僕たち中学生が支払う税といったら、消費税ぐらいである。しかし、それとは比べものにならないほどの税の恩恵を僕たちは受けている。それをどう恩返しするか。それは大人になって、税金を払うことに他ならない。その時が来たら僕はしっかりと払いたい。

 これを聞いたら、奈良時代の人たちは大層驚くだろう。しかし、僕は自信を持って言いたい。未来の税は、自分たちを支える税になるんだ、と。

 そして、僕はこのことを現代の多くの人たちにも知ってほしい。いろいろな場所で人を支えている税を払っているのは納税者なのだ。そうすれば、税金は払わなければいけないという概念がきっと変わるはずだ。僕は税金を通して多くの人に支えられて生きていると知った。税は人と人とをつなぐ見えない架け橋なのかもしれないと、思った。