国境を越えた税金

 みなさんは政府開発援助という活動を知っているだろうか。政府活動援助とは、経済協力費の一環で税金の使い道の一つだ。国際社会の平和を願い、飢餓や貧困に苦しむ発展途上国に資金を提供する活動だ。私は、国民の払っている税金の一部が海外に送られていることを初めて知った。素敵な活動だと感心した反面、国の財政を考えると無駄ではないかと思った。税金の使い道の中で、一番興味を持った政府開発援助について詳しく調べてみようと思った。

 政府開発援助とは、発展途上国の経済的・社会的開発、あるいは福祉の向上を目的とし、贈与や技術協力など直接的な援助をすることや、国際機関へ資金を提供する活動だ。日本の援助額は約五千億円で、主要国の中でも四番というほど多額の金を提供している。ただ金を渡すだけではなく、日本の知識や技術を活かし、同地域の経済社会開発の担い手となる人材の育成を行う技術協力という活動もある。これらのメリットは苦しんでいる国々の環境を整えて自立に一歩近づけるだけではなく、日本の援助国の発言力の向上や国連などの協力関係の確約、輸入物資供給の安定など、日本と他国の結びつきに重要だ。

 しかし、日本の財政は危機的状況である。自分たちが働いて払っている税金を他国にばらまいていると批判する国民も多くいる。批判している国民は、政府開発援助の良い点をまだ知らないのだと思うが、たしかに日本国民の税金を日本国内で使わなければいけないのか疑問に思う。お金を使わない援助方法はないのか、その費用を日本の抱えている問題に使えないのか、考えてみると疑問が生じた。その時は私は、よくテレビで特集されている貧困に苦しむ海外の子供たちを思い出した。

 私は中学一年生の頃、友達と駅前で募金をしている黒人の男性と出会った。必死に呼びかけをしている彼に、私は百円を渡した。すると、彼は涙ながらに喜んでくれて強く握手をした。手渡されたパンフレットには、ガーナで生活に苦しむ子供たちが写っていた。私の寄付した百円はガーナの子供一人の一日分の食費だと知った。私はお金の価値の大切さを改めて感じた。

 日本国民が払った税金は国内だけで使うべきという考えは自己中心的な考えなのかもしれない。私たちが払ったお金が海を越えて、名前も知らない人たちの生きる希望となるのだ。財政は厳しいが、政府開発援助は続けていくべきだ。批判されるのは調べる前の私のように、国民が税について知らないからだ。国民が税を知れば、もっとより良い案が生まれ、より良い未来が創れるかもしれない。日本の税は日本の物だけではないのだ。私は将来大人になって、今よりもっと税を納める時は、自分の税金で誰かの命を救い、笑顔に出来るように社会に貢献していきたい。