東日本大震災と税金

 東日本震災から4年。被災地は今、どうなっているのだろう。私はこの疑問の答えを見つけるために、そして、復興支援のため単身赴任中の父に会うために、岩手県釜石市へ行ってきた。

 駅に着いた時、私の目の前に広がった光景は新幹線で予想した光景とは違っていた。瓦礫などは一つもなく、仮設住宅の他にも復興住宅といって普通の家もたくさん建っていた。2019年のラグビーワールドカップに向け、ラグビー場も建設される予定だという。今年から花火大会も復活し、震災前のような活気も戻りつつあり、私が出会った人達はみんな笑顔だった。釜石市がこのように復興したのは市の力だけでは不可能だったであろう。釜石市だけじゃない。復興にはたくさんの税金が役立ってきた。この税金は復興特別税といい、特別に集められたものである。私はこれに興味を持ち、少し調べてみることにした。復興特別税とは、所得税、法人税、住民税を対象とした復興への財源確保のための増税であり、25年間導入することが決まっている。釜石市ではこのお金が復興住宅の建設や瓦礫撤去、物資の調達はもちろん被災者の心のケアのためにも役立ってきた。現地にいない人々が被災地の人々に出来ることは何だろう。震災後、テレビで流れている被災地の映像を見て私は考えた。この作文を書いてその答えは税金をきちんと納める事なのではないかと思った。私たちが食べている魚や海藻は被災地でとれていたものも多いし、また、福島原発に私たちがお世話になっていたから、被害も受けたのである。私たちを支えてくれていた被災地の人々に、税金をきちんと納めることでその税金が支援金となり、恩返しができるのではないだろうか。

 だが、そんな思いを裏切るような事が起こっているのも事実である。復興特別税は悪用された部分もあった。全国民の助け合いの気持ちがつまった税金を悪用するなんてあってはならない事である。昔、税金は大変な思いをして納めるものだったので、「血税」と呼ばれていた。今もその概念は変わっていない。税金を納めるのは義務で、あたり前の事だがその中にはたくさんの努力の汗が滲んでいるという事を忘れないでほしい。だから不正なく、責任をもって税金を管理してほしいと思った。

 私が納めている税金は消費税のみである。それも親のお金で。約10年後、私は自分の稼いだお金で税金をきちんと納められる人になっていたい。今まで受けてきた税金の恩恵、毎日学校へ安全に通えたこと、勉強ができたこと、風邪を引いたら病院に行けたこと。その全てに感謝し、支えてくれた人に恩返しをするために。そのためにも、その恩返しができるような税金制度であってほしい。

 10年後、次は私たちが人々を支える番だ。