税に関する作文

 義務教育最後の一年を迎えた私たちは、この春、九回目の無償配布となる教科書をいただきました。学年が上がる度に当然のように受け取ってきた教科書ですが、それもこれで最後になるのだと思うと、真新しいきれいな教科書を前に改めて気が引き締まる思いがしました。

 それからあっという間に夏が過ぎ、部活動を引退する人も増えてきました。水泳部の私も、先日無事に最後の大会を終えて引退しました。グラウンド、体育館、武道館、陸上競技場、弓道場、テニスコート、プール、教室・・・放課後を一緒に過ごした仲間と共に、思い出深い場を去っていきます。振り返ってみると、私たちは学校生活を通して、実にたくさんの貴重な経験をさせてもらってきました。歴史ある校舎は新しくはありませんが既に耐震工事が行われ、いつも安全な環境の中で伸び伸びと勉学に励むことができました。友達と一緒に多くのことを学び、美味しい給食を食べて、放課後は思う存分部活動に励んでこられたことに、感謝の気持ちでいっぱいです。多くの人に支えられ育ててもらってきたことを忘れずに、思い出が詰まった学校を卒業していきたいと思います。

 現在、日本では教育費として私たち中学生一人に対して一年間に百万円近くの税金が使われているそうです。しかし、もちろん、私たちが受け取ってきたものは、教育に関する費用だけではありません。病院、ごみ処理、警察、消防、その他私達が生活するには多くの公共のものが必要不可欠ですが、それらにかかる費用も全て税金によって賄われています。身近なところでは、今年四月に消費税率が五パーセントから八パーセントになり、更に来年十月には十パーセントになりますが、その増税分も年金や社会保障の安定化のために使われるのだそうです。納められた税金が私たちの暮らしに必要なものに正しく使われより暮らしやすい日本が築かれていきます。これは、とても素晴らしいことだと思います。

 これまで税金の恩恵を受け取る側の立場にいた私たちですが、数年後には所得税や住民税などを納め、今後は誰かを支える側の立場になります。私たちが子供として今まで当たり前に受け取ってきたものを、絶やすことなく次の世代の子供たちにも同じように当たり前に引き継いでいけるように、また私たちを育んでくれた人たちが安心して暮らしていける世の中が続くように、私は日本の一員としての自覚を持ちしっかりと生きていきたいです。「この教科書は、これからの日本を担う皆さんへ期待をこめ、税金によって無料で支給されています。大切につかいましょう。」教科書の裏表紙に書かれたこの言葉の重さを忘れずに、感謝の気持ちを持って社会に貢献できる人になれるよう、努力していきたいと思います。