人の心を豊かにしてくれる税金

 私の家は、ひとり親世帯です。母の収入で兄と私の二人を養ってくれています。家計はギリギリなのも分かっているつもりです。でも、私には、どうしても行きたい中学校がありました。ですので、一年半前に「自分も頑張るので、どうか頑張らせてください。」と母にお願いをして、中学受験をさせてもらいました。そして今、念願の中学校に通わせてもらっています。ですが、私立ということで、入学のためなどに、たくさんのお金がかかった上に、今年、消費税も八%に上がってしまいました。来年には十%に上がるといいます。自分でお願いしたものの、母に申し訳ない気持ちと、これから先、どうなってしまうのかという不安感が増しています。

 とはいうものの、税金について、今までよく考えたことがありませんでした。この機会に、自分の周りで税金がどのように使われ、どんな徴収がされているのかなどを調べてみると、税金は払っているだけでなく、自分も色々な場面で利用させていただいていることに気づかされました。税金を活用して作られた病院・保育園・図書館・小学校・体育館など、私は生まれてからこれまでの十三年間でどれほどの恩恵を受けてきたことか・・・

 一番印象深いのは、図書館です。暑い日も寒い日もそして風の日も、週末になると、重たい本を前かごに入れて、母と一緒に図書館まで一生懸命自転車をこぎました。そして、図書館でも家に帰って来ても、何度も何度も絵本を読んでもらいました。お気に入りの本は、何度も借りてきて、その中の何冊かは買ってもらったりしました。そのおかげで、本が好きになれたのだと思います。本は、私の知らない世界を教えてくれます。それがとても楽しみなのです。また、ちょっと照れくさいですが、去年の今頃も、受験勉強で疲れている時、母が何度か絵本を読んでくれました。最初は「えっ~?!六年生にもなって?」と思いましたが、そうしてもらってみると、ほっとしてゆっくり眠りにつくことができました。それは、とても素敵な時間でした。

 それから、私は四歳のころから剣道をやっています。その稽古は、やはり公共施設を利用させていただいています。そこで頑張れる場所があったから、三年連続で全国大会にも出場できたし、先日の初段審査にも合格することができたのだと思います。

 こんなキラキラした思い出たちを作ってくれたのは、そういう場所や、それを利用できるシステムがあったからこそです。そのおかげで、今の私があります。そう考えると、今の私は、消費税を払うくらいで税金を利用させてもらっていることの方が多いですが、そのおかげでたくさん充電してもらっている分、将来、大人になった時にその恩返しができるように、今はこの恵まれた環境でしっかりと勉強していきたいと思いました。そしていつか、母にも恩返しがしたいと思います。