税でつくる支え合いの輪

 浴衣を着て楽しそうに踊る住民たちの輪。響き渡る笑いの声。みんなの笑顔

が帰ってきた。

 昨年の夏、この公園は立ち入り禁止だった。私の住む地域は、震災による原

発事故の影響で放射線量が高かったからだ。

 しかし、今年の夏は恒例の夏祭りが開催された。昨年の今頃、真夏の広い公

園に大きなショベルカーが何台も入り、芝生をはがし、土を削った。大規模な

この作業は、地域の住民の力だけでは到底成し得ることはできない。地域を超

えた多くの方による、税金を通しての支援があったことを忘れてはならないと

思った。税金のおかげで再び取り戻すことができたのは、緑の芝生が張られた

元通りの公園だけではない。子供たちの笑顔、住民の紳、新しい出会い、そし

てこれからこの公園でつくられるかけがえのない思い出だ。

 私は、税金から受けた恩恵について考えた。中学3年生である私は今年で義

務教育が終了する。教育も税金によって賄われている。本棚に並んだたくさん

の教科書、多くのことを教えていただいた授業、机、校舎、学校生活を支える

全ての環境。一人の人間を育てるために、いったいどのくらいかかるのだろう。

小学校からの九年間、たくさんの人に支えられてきたことに改めて気が付いた。

 消費税が八%になってから、レジで支払う金額が予想より高くて驚くことが

たまにある。でもそのときは、「私が今まで受けた恩恵を、今度は他の誰かにお

返しする番だ。」と思うようになった。この社会は、支え合いで成り立っている。

税金はそれを形にしたものなのだ。

 税金を納め、社会に貢献できるのは社会人になってからだと思っていた。中

学生である私に今できることは、お小遣いから消費税を納めることだけだと。

しかし、税金について立ち止まって考えてみると、学生である私たちにもでき

ることがあることに気が付いた。

 それは、与えていただいた恩恵に感謝し、維持、発展させることだ。例えば、

地域の公園だ。きれいに張られた芝生からは雑草が伸びてきた。9月には住民

による除草作業が計画されている。たくさんの方が納めた税金で元通りにして

いただいた公園だ。私も積極的に参加しようと考えている。次に、これまでに

受けた教育だ。教育に税金を使うということは、今の世代の方々から未来の日

本を託されていることと同じではないだろうか。日本の貴重な財源からいただ

いた税金だ。私は一生懸命学習し、社会に役立つ力を身につけたい。そして、

よりよい社会の発展に貢献したいと思う。「私に出来ることは何か」と考えて行

動すること、それは私も税金をめぐるこの支え合いの輪に入る第一歩だと思っ

た。

 税金は、この夏報道されている災害に遭われた方々の救助、生活再建にも使

われている。どうか、この日本の制度が人々の幸せにつながって欲しいと心か

ら願う、この制度を守ることは私達の大切な使命なのだと思った。