消費税が上がる意味

 私たちが普段買い物をすると、必ず消費税というものが値段の中に含まれている。2014年、消費税は5%から現在の8%に引き上げられた。当初の予定では、2015年10月に10%になるはずだったが、2017年になった今でも増税はされていない。

 消費税が5%から8%になったとき、私は小学校6年生で、税がどういったものなのかということについては全くわからなかった。ニュースでは増税のことが頻繁に取り上げられていたが、「消費税なんて上げて何の意味があるんだろう」とぼんやり考えていたぐらいだ。

 でも実は、税金と私たちの生活には深い関わりがあるということが、中学生になってからわかってきた。例えば、道路の整備やゴミ処理、そして私たちの教育費。医療機関や警察、消防にも税は必要だという。もし、国民が税を納めなくなったら、それらのものは全て機能しなくなると考えると、私たちが普段、税にどれだけ助けられているかが実感できる。

 しかし、このように考えていた時、一つ思い出したことがある。私の祖母は山の中に住んでいて、祖母の家に行くには山の急斜面を何度もカーブする道を行くしかなかった。私が8才くらいのとき、いつものようにその道を行こうとすると、通行止めになっていた。その道があまりにも急カーブが続いて危険なため、大きくまわりこむ新しい道をつくろうというのだ。私は正直、ここにそんな大きな道をつくる必要があるのかな、と思った。確かに急カーブをくねくねいくのは大変だけど、この道を使う人は決して多くはないのではないか。そんな所に大きな道をつくって、お金がもったいないと思ったのだ。その工事は、私が12才のときまで、長い間続いていた。

 私は、増税をしても使い道が正しくないなら、増税する意味はないと思う。本当に必要なときに、必要なことのために使えないなら、消費税が10%でも15%でも20%でも私たちの生活は豊かにならないだろう。消費税が8%になったときから現在までで、私たちの生活は変わってきているのだろうか。もちろん、国の借金を返すためというのもあるだろうが、増税によって私たちの生活がよりよいものになっていると実感できなければ、消費税を上げることに賛成できない人がいても無理はない。私たちが快く税金を納められるように、まず税金がどこでどのように使われているのかを明確にするべきだ。もちろん、私たちが、自発的にそういったことを知ろうとすることも大切である。何に使うかあまりよくわからないという意識から、自分たちの生活に役立てるために喜んで払っていると思えるようになれば、きっと今より明るい社会が広がっていくだろう。