みなさんは、「社会保障」という言葉を知っているだろうか。私は聞いたことはあったが「社会保障」とは何なのかよく分からなかった。正直、興味もなかった。しかし、お年寄りへのボランティア活動に参加して「社会保障」という言葉を調べている私がいた。
私の通う中学校では毎年、夏休みに一人暮らしのお年寄りに自分たちで作ったお弁当を届けるというボランティア活動を行っている。今年は中学校生活最後の夏休みなので、私も参加することにした。私の周りには、明るくて元気なお年寄りが多いため、今からお弁当を届けるお年寄りもきっとそんな人たちばかりなのだろうと勝手に思っていた。でも、それは違った。パジャマ姿で床をはうようにして出てくる人、寝たきりの人、車イスに乗って生活する人。私の地域の高齢化率は三十六%で非常に高い。地域の一人で暮らす高齢者の生活状況は、私が思っていたよりもはるかに深刻だった。
配達が終わると、地域の見守り隊の方がお話をして下さった。そこに「社会保障」という言葉が出てきた。そして、「社会保障」が国民の最低限度の生活を保障するものだと改めて感じた。また、高齢者の方々だけでなく、私たちも社会保障制度に助けられていると知り、驚いた。税金と私たちの生活が結びついて、税金が身近なものに感じたのである。「私でも、地域のお年寄りの力になれるかもしれない。」と思えた。
日本の国内総生産に占める社会保障の割合はヨーロッパやアメリカに比べて低い。世界で最もこの割合が高いのはスウェーデンだ。スウェーデンでは小学校から大学院までの授業料が無料、病院での医療費も無料だ。「日本もこうだったらいいのに。」と私は思った。しかし、サラリーマンの給料の約半分は社会保障費として引かれたり、物を買うときに高額の税金を含む支払いをしたりしなくてはならない。高い保障費を受けるには、国民への負担も多くしなければならないのだ。
では、私たちが今、地域のお年寄りにできることはなんだろうか。私は今まで、年金があればお年寄りは充分な生活ができると思っていた。しかし、ボランティア活動に参加して厳しい現状を知った。一人一人に給付される社会保障費は決まっている。年金では足りない部分を私たちのボランティア活動や地域全体で埋めていけたらいいと思う。
そして、私たちを支えてくれている税金を大切にしなくてはならないと実感した。病院へ行ったとき、学校で給食を食べるとき、今までの私はそこに税金が使われていることなど知らず、なんとなく薬をもらったり、食べたりしていた。これからはもっと、身近な税金に目を向け、どこに、どんな風に使われているのか自分の目で確かめていきたい。そして、税金を納めてくれる大人に感謝の気持ちを忘れずに生活していきたい。