暮らしを支える税金

 「うわあ、高いなあ。」

父が郵便物を見ながら叫んでいた。

「何の話?」

「税金だよ。県民税と市民税。」

今まで私は、壊れた道路を直したり、学校を建てたりするのに税金が使われていることは知っていた。その税金は、大人が働いて得たお金からできていることも。でも、県民税とか市民税って一体何だろう。

「私たちは、住んでいるだけで税金をとられるの。新潟県に住んでいるから県民税。柏崎市に住んでいるから市民税。」

と母が言った。今まで考えたことがなかったけど、税金っていろんな種類があるんだな。

「他にも固定資産税。家に住んでいるだけでも税金を払う。自分の家だと思っていても、税金を払わないと追い出されちゃうよ。だからあなたも、ちゃんと将来就職してお金をかせいで、税金を払わなくちゃね。」

ええっ、そうなんだ。びっくりした私は、他にもどんな税金を払わなければいけないか調べてみた。自動車を持っていれば自動車税、父のお酒とたばこには、酒税とたばこ税、そして、買い物をするたびに商品の代金と一緒に払う消費税…。まだまだたくさんあった。

「でも、これって全部、お父さんやお母さんが一生懸命働いて、やっともらったお金でしょ。それをとられるのは損じゃないの。」

「それがね。税金を払うといいこともいっぱいあるの。」

いいことって何だろう。調べてみて分かった。国や県や市は、そこに住んでいる人が安全で快適な暮らしができるように、さまざまな活動をしている。その活動をするためには、当然お金が必要になる。しかし、国や県や市がしている仕事でもうけられるお金はごくわずか。だから、みんなからお金を出してもらって、それを集めて使っている。それが税金だ。税金を使った活動では、まず安全を守るために、警察と消防がある。この二つがなければ世の中は犯罪があふれ、火事も消せないし、救急車も呼べない。また、健康や生活を守るために、健康診断や予防注射、ごみの収集処理がある。私が予防注射をした時、母が、お金がかからなかったと言っていたけど、税金でまかなわれていたからだったんだ。ごみも収集車が来ないと、町中ごみであふれてしまう。

「おばあちゃんの介護をしていた時も、お世話になったんだよ。」

医療費が高額になると補助をしてもらったり、施設で介助をしてもらったりしたそうだ。

 税金を納めるのは大変だけど、そのおかげで私たち家族の暮らしが支えられてきたのだ。と言うことは、両親の納めている税金もまた、他のだれかの暮らしを支えるのに役立っているのだ。私も将来、自分の家族や他のだれかを支える税金を、きちんと払う人になりたい。みんなで暮らしを支え合う、それが税金だ。