私は地元の公立中学に通うごく普通の女の子。そんな私が税金とどれだけ関わっているか、考えてみようと思う。
朝、六時半。今日も一日が始まる。まずトイレ。そして洗顔。ここでちょっと考える。水道の水って、どこから来たの?確かダムで水を集め、水道管で浄水場に送って、配水地を通り給水管で水が運ばれてくる。これらの設備は国や県や市で造っているんだよね。こんな設備、ローマ皇帝だって造れやしない。
朝ごはんを食べて、お母さんのお手伝いでゴミ出しをする。このゴミ回収も市役所がやってくれる。ゴミ回収がなくなったら、町中がすごい臭いにつつまれ、あっという間に病気がはやるだろう。
それでは学校に「行ってきま~す!」
学校に行く途中、信号がある。この信号も税金でつくられているんだよね。あっ、そもそも私が家から歩いて来た道は市道と県道か。今日は信号のところに交通整理のおまわりさんが立っている。おまわりさんは県の公務員。
学校に着いた。校門をくぐる。ところで、もし税金がなくて学校を自分たちで運営するとしたら、いったいいくらかかるのだろう?
まず先生たちのお給料。私の住む市の公務員の平均年収が約七百十万円。先生は全部で二十人。だから一年間で一億四千二百万円。一カ月で約一千百八十万円。私の学校の生徒は約四百人。だから生徒一人あたりの負担額は月に約三万円か…。
この他に教科書代や備品代、それに学校の建物や土地代はいくらくらいかかるんだろう。想像つかない。それに水道光熱費とか考えるとキリがない。一人あたり一カ月十万円くらいはかかるのでは?義務教育の間は無料で学校に行けるんだから、とても恵まれていると思う。
他にも図書館に行けば、一冊あたりの貸し出しコストが二百六十円くらいかかる。私は年間五百冊借りるから、十三万円くらいか。
それから医療費。私の住む市は0歳から中学卒業まで医療費助成制度があり、自己負担はなし。本当に至れり尽くせりという感じだ。
でも、私は税金を払っていない。所得税も住民税も、もちろん酒税やタバコ税なんて論外だ。しいて言えば消費税だけど、これだって十万円買い物したって八千円しか払っていない。大人になって働くようになったら、ちゃんと税金を払おう、と心に誓った。
学校のテストで気づいたことがある。五科目のうち百点をいくつ取っても、一科目でもガクッと点数が悪いと順位が落ちてしまう。それよりは百点がなくても万遍なく点数を取っていた方が順位はいい。私たちが暮らす社会もこれと同じではないのかな?どんなに皆がリッチでも、すごく貧しい人がいたら、その社会は不安定なんじゃない?「税金は富の再配分」というけど、こういう事をちゃんと考慮してくれる税金って本当にすごいね!