私たち被災者家族も守る復興特別税

 正直に言うと私には、税は「負担」や「難しい」等のマイナスイメージしかなかった。肌で感じるのは消費税ぐらいのものだ。商品を買う時、商品に対して八パーセントの税金がかかる。私の母が、以前は三パーセントだったと話していた。多くのお金を払うのはいやだなあという感覚しかなかった。しかし調べていくうちに、税にはいろいろな種類があり、私の家族に直接関わる税を知ることができた。

 それが「復興特別税」といわれる税金だ。これは、平成二十五年一月一日から導入された。国民の給料から天引きという形で納入するため、税負担の実感は少ない税だが、東日本大震災の被災者救援の財源確保を目的にした税金だ。復興庁予算会計班の西川さんに電話取材したところ、復興特別税の一部が使われていて、私の家族が恩恵を受けている三つの施策があることがわかった。

 一つ目は、「高速道路無料化」である。私の家族は東日本大震災の原発事故の影響で、母と妹と三人で新潟に自主避難している。父は仕事があるため福島に残り、毎週末には二百キロもの道のりを車で私たちに会いに来る。その際高速料金四万円もの出費となる。高速道路を利用しないで一般道にすれば出費を押さえることができるが、片道六時間の道のりを運転するのは大変だ。週末、仕事の疲れに運転の疲れも加われば事故も起こしかねない。母はいつも心配している。実際、避難中の家族に会うために移動中、交通事故でなくなった方々もいる。「高速道路無料化」で気兼ねなく高速道路を利用できるから、運転疲れが軽減されることを父は喜んでいた。

 二つ目は、無料で受けることができる子どもの「甲状腺の検査」である。この夏休みに、私たち姉妹ものどの部分にジェルを塗って写真を撮り、検査してもらった。写真は大学に集められ、複数のお医者さんたちが話し合いで判定してくれるそうだ。検診センターの駐車場には、甲状腺の移動検診車も駐車してあった。私たち福島の子どもの健康を継続して支えてくれる事業としてありがたいと思う。

 三つ目は「家の除染」である。父の話では、私の家にも二度、除染対象かどうか線量を測定しにきたそうだ。年間一ミリシーベルトを超えていれば除染対象だ。このように復興税は私たち被災者家族も守ってくれている。

 今まで、便利で快適な生活が、当たり前と思ってきた。しかし病院や警察などの公共サービスや福祉、それから学校といった教育の維持に税が使われていた。多くの方々の大事なお金が税金として、私達の生活の隅々まで支えているのだ。税は相互に支え助ける精神が凝縮されたものだ。だから納税は国民の幸福のための土台とも言える。税に対しては、今までのマイナスイメージではなく、感謝の気持ちを忘れずにもっていたい。国民の一人一人のために税金を使ってほしいと思う。