人々の笑顔は税金から

 この夏、僕の家に市の資産税課の職員の方が家屋調査にやってきた。固定資産の評価をするためで、家の中や外の構造、材、寸法などを丁寧に測定し、最後に税金について説明をして下さった。家などの不動産を所有すると不動産取得税を県に収める必要がある。それだけでなく、毎年かかるものとして固定資産税と都市計画税があり、これらは松本市に納めるものだと教えてくれた。僕の家は建った場所が市街化区域に該当するため、都市計画税も課税されるそうだ。その後、母から土地を取得し家を建てるという流れの中で、消費税や印紙税、土地や建物を保存登記する際の登録免許税といった税があり、それらを全て納めてきたことを知った。

 家を建てるというだけで、これほどの税金を納めなければならないのかと、僕は正直驚いた。しかし今、新しい家で暮らし始め、借家とは違い、とても落ち着いた生活が出来ていることに気付く。家の前には市が管理してくれる公園の芝生や木々の緑が広がる。丁寧に管理して下さっているため、夏になると市街地でありながらも蝉やトンボやチョウといった昆虫がたくさんやってくる。毎日この公園の遊歩道を歩いて登校する際、とても恵まれた環境だなと実感する。

 家を建てるということは、この松本という街に根を下ろすことだと考える。この地に根をはれば、当然ながら生活を営む際に必要となる水分や栄養素を根から吸い上げ吸収する。そうしなければ僕らの生活は成り立たない。潤いが次第になくなり、枯れはててしまうはずだ。では、この養分は誰が提供してくれるのか。もちろん国や各自治体である。国や自治体は日々よりよい環境や、よりよい暮らしを目指し働いてくれている。そのお蔭で僕たちの今の暮らしがあるのだ。では養分とは何か。この養分こそ税金だと考える。つまり、税金は僕たちがこの国に、この街に根付いて暮らすために必要不可欠な栄養を創り出してくれる源であり、税金がなければ、この街の自然や環境、暮らす人々の笑顔は失われてしまうのだ。

 今回、家を建てて気付いたことは、僕はこの松本という街が好きだということ。だからこそ、自分や家族だけでなく、この街に暮らす、すべての人々が安心して根付いて暮らせる街であってほしいと思う。みなが笑顔で暮らせる街、その街づくりのために税金を納めるのであって、その額が公平になるよう職員の方が一軒一軒まわって、目で見て評価していることを知った。税金によって安心して生活するための様々なサービスを享受できる今の社会の仕組みに感謝し、この仕組みを守っていけるような大人になりたいと強く感じた夏休みとなった。

 松本市では新築の際、記念樹をプレゼントしてくれるそうだ。これも税金の恩恵だ。隣接する市の森に溶け込む樹を植えたい。