未来を築こう

 四月から消費税が八パーセントになったが、時々しか買い物をしないから、あまり慣れていない。お店によって表示方法が本体価格だったり税込価格だったり統一されていないので、支払いの際には注意が必要だ。

 先進国の中でも、日本が膨大な債務を抱えていたことは知っていたが、どうしてこの時期に消費税を引き上げたのだろうか。消費税は目的税でないため、他の税に比べて景気や国民の年齢に関係なく、多くの人から調達出来るという利点があり、社会保障税度を安定させるには増税が不可欠だった。現在の制度が発足したのは約四十年前だが、少子高齢化が進んだことで、税収は減っているが給付は約四倍になっていた。もちろん、債務の全てが社会保障費が増加したためではないが、財源不足を解消するために公債を発行し続け、歳入の半分をそれに頼るという状況になってしまった。

 祖母はガンの手術を三年前に受けた。病気を治して早く自宅に帰りたいと、リハビリも食事の面でも頑張っていた。祖母を呼んで一緒に暮らせれば良いのだが、祖母の願いは住み慣れた自分の家に帰ることだったので、退院後どうやって世話したらよいかのか悩んでいた。そんな時に職員の方から、介護保険制度をすすめられた。この制度は医療行為を除いて、本人が必要とする身の回りのことをしてくれるものだった。それを聞いて祖母も僕達家族も、救われる思いだった。

 結局祖母が自宅で過ごすことが出来たのはわずか三ヶ月だったが、とても貴重な時間だった。亡くなった今でも、時々僕はあの時少しでも祖母の力になれたのだろうかと心配になる時があるが、税金のおかげで祖母の願いを叶うことが出来て、本当に良かったと思っている。僕達は税金からたくさんの恩恵を受けていることを知っていたが、祖母の入院を機に改めて税金が僕達の生活を守り、支えてくれていることが分かり、心強かった。

 来年十月には消費税が十パーセントになるといわれている。決して楽な負担ではないと思う。だが祖母のように困っている人のための増税ならば止むを得ない。そして今こそ僕達は自分達にとって幸せな暮らしとはどういうことか、税金に何を望むのか考えてみる必要があると思う。僕が六十歳を迎える頃には、五人に二人が高齢者になるらしい。刻々と変化する社会情勢の中で、一人一人が税に関心を持って、声にすることが幸せの第一歩の気がする。

 今回税について考えていたら「ONE FOR ALL ALL FOR ONE」の言葉が頭に浮かんだ。僕はラグビー部員なのだが、税金もラグビーも皆で協力し合うという点が似ていると思った。一人の力は小さくても力を合わせていけば大きな力になる。僕も未来のために力となれるよう頑張りたいと思う。