命を救う税

 「元気になってよかったわ。」祖母の友人が遊びに来た時、祖母のかけた言葉だ。その友人はC型肝炎でインターフェロンの治療をしていたが、副作用が強く具合の悪い時があった。以前会った時と比べ顔色も良く、とても元気そうだった。「ハーボニー」という薬が使え、副作用もほとんどなく、薬を服用するだけでC型肝炎が完治したそうだ。

 「ハーボニー」は現在一錠約五万円だが、当時は八万円ほどしたそうだ。毎日一錠ずつ十二週間のみ続けなければならず、治療終了までに六百七十万円ほどかかる。しかしその治療には助成制度があり、一カ月二万円の負担で治療ができたとのことだった。

 税の作文も今年で三回目だ。中学生になったばかりの頃は税について何も知らなかった私だが、この作文をきっかけに調べたり、自らの体験と照らし合わせることで日本には様々な税があり、それにより私たちの日々の暮らしは支えられていることを学んだ。祖母の友人は病気が完治してとてもうれしそうだった。インターフェロンで治療をしている時の苦しさを知っているからこそ、私もうれしかった。「助成制度がなかったら、私はこの治療を受けられなかった。こんなに元気になることはなかった。」と彼女は言っていた。身近なところで税が人生を変えるほどの支えになっているのを感じた瞬間だった。そしてあらためて税のすばらしさを実感した。しかしその反面、治療費を聞いてその高さに驚き、医療費が膨大な額になってしまい、保険制度の崩壊を招くのではないかと心配にもなった。

 この肝炎治療が保険適用になったことにより、救われる命は多い。しかしそれに伴う医療費の国の負担は決して小さくない。肝炎の治療は高額で、一時的に医療費の圧迫につながるかもしれないが、重症化した場合の負担増や完治することによってその人が元気になり、経済効果にもたらす影響を考えると、治療費が決して高いとは言えないと母が教えてくれた。

 日本では医療を受けるために国民皆保険制度をはじめ、様々な制度がある。私たち中学生も子供医療費助成制度で支えられている。いつかかるかわからない病気やケガ。その時にかかるお金の負担を軽減してくれるのが日々納めている税なのだ。少ない負担で高度な医療が受けられ、命を救う大切な税。私たちの安心な生活は税によって支えられているのだ。これからもこのすばらしい制度が続くよう、大切な税金が適切に使われるよう願っている。