税と私

 「英検って高いね。」

「一度では難しいから、申し訳ないけど二回は受けてだって。」

二度目の英検受験はこんな風に始まりました。

 中学生になり初めての英検は学校単位で受験しました。でも、二回目は個人で受験する為、検定料の払い込みなどの手続きを自分で行わなければなりません。不合格だった時を考えると受験するか、その検定料の高さにとまどい、とても悩んでいました。しかし、英検は将来にも役に立つ資格。受験したいという気持ちが強く、決められませんでした。

 数日後、偶然にも私が住んでいる稲敷市から英検の費用を二回補助してくれる制度があるとの通知が自宅に届きました。この通知を見て、私は二度目の英検に挑戦することを決めました。両親も補助のことを話すと問題集を買ってくれたりと英検にとても積極的に協力してくれました。

 市では、児童生徒の学習意欲の向上を図ることを目的に英検受験者への補助金を交付してくれています。限られた税金の中から私たちへ教育の保障をしてくれ、本当に幸運だったと思っていました。テレビのニュースでは女の子というだけで学習する機会すら与えてもらえない国や内戦続きで生命を守る事に精一杯な状況の子供たちを報道しています。そんな中、私は日本という安全な国に生まれ稲敷市に住んでいたというだけで、今回の補助を受けて教育の保障をしてもらえたこと。

 しかしよく考えてみると、それらはすべて納付された税金の運用だと気付きました。あたり前に受けていた補助金や公共サービス、教育などはすべて納税の対価だと分かりました。同じ英検受験者は数多くいました。その中で、私と同じ様に補助金をもらっている人は何人いたのでしょうか?税金の運用は、それぞれの市町村により違う事も知りました。

 今回、私はみんなの納めた税金の中から補助金を受け税がぐっと身近なものとなりました。「税」=納税している大人だけのものという認識が変わりました。将来いつか私も税金を納める立場になります。今はその準備段階。私が納めた税金が何に使われていくのか知っていく途中ですが、税金によって私を含め身近な人達の生活が暮らしやすいものへとなってほしいと思います。税金はまだ未納の私たち子供から、納付義務を果たしている大人まで全ての人に平等にサービスを提供してくれている事が分かりました。

 これからも安心して生活できるよう、今は勉強をして、将来の夢に一歩でも近づけるように頑張っていきたいです。