税と未来

 「お会計は六百円です。お大事にしてください。」

 看護師さんの優しい声に見送られて、私と母は病院を後にした。私は、部活で足を痛めてしまうことがよくある。すると、いつも沢山の湿布を処方してくれる。また、その費用は一回六百円で済む。これは、土浦市が医療福祉費支給制度、通称「マル福」を中学三年生まで拡充してくれているおかげだ。マル福とは、保険証を持って医療機関などにかかった場合、必要とする医療を容易に受けられるよう、窓口で支払う一部負担金の費用を助成してくれる制度である。そのため、私の場合、費用が多くかかってしまうことがなく、安心して医療機関にかかることができるのだと、母が喜んで教えてくれた。

 私は「税」というものを身近に実感し、改めて考えてみると、身の回りの様々なものが税金で賄われていることに気付いた。小学生の頃、背負っていたランドセルや、その中の教科書、エアコンがついた学校や、学校へ行くための道路、他にもまだまだある。私は、税金に支えられて生きている、そう考えるとそれのありがたさと、重みを感じた。なぜなら税金は、勝手にどこかから涌いてくるものではない。大人が一生懸命に働いて得たものだからだ。

 私たち子どもにかけてくれた税金、それは私たちが立派な大人に成長するようにとかけてくれたものだ。だからこそ、私たちはその未来への期待を裏切ってはいけないと思う。私はまだ働けない。だが、大人が働いて支えてくれている。数年後、私は働ける。だが、私を支えてくれた大人たちは、もう働けないかもしれない。そうなったら次は私の番だ。私が働いて、私を支えてくれた人たちを支えたい。私が立派な大人になるようにと働いてくれたのなら、私はそのための努力をする。そして、私がしてもらったこと以上のことを、また次の世代を担う子どもたちに、してあげたい。私は税金に、未来をつなげる役目をしてほしい、と思っている。

 今の日本は、少子高齢化が進み、社会保障の費用が増える一方で、それを負担する働き手が減っている。また、国の借金も膨れ上がり続け、将来私たち、そして子孫にまで残る負担となるだろう。それを避けるには、税金を納める私たちが、そのお金の使い道に、より目を向け、知る必要があると思う。

 税とは、日本の未来への投資だともいえるものだ。よって、私たちが納めている税こそが、日本の行く末を担う大切な存在なのだ。