税で作られる安心と笑顔

 私は、税が私たちの生活を支えているということは知っていたけど、税に対してあまり良い印象を持っていなかった。高い買い物をしたときほど、もったいないと感じてしまうからだ。でも、租税教室を通じて税への見方が変わった。

 今日本には、消費税や所得税など、約五十種類もの税がある。税金は、安全を守る警察や消防の活動、快適に安心して暮らすための道路や橋の整備、ごみ収集、支えあい豊かに暮らすための学校の施設や治療費の負担などに使われている。しかし、ここに挙げた例はほんの一部にすぎない。他にも、様々なところに税金が役立っているのだ。

 もしも、税金が誰からも払われなくなったら、私たちの生活はどうなるのだろう。毎日行くのが当たり前だと思っていた学校にも通えなくなり、教育も受けられなくなる。交通事故や火事でけが人が出たなんていったら大変だ。警察も消防も救急車も来てくれないのだ。病院にも自分で行かなければならないし、整備もされないため、いずれは車も通れなくなるだろう。そうすれば、生きていくための食料さえ届かず、足りなくなってしまうのだ。そして、高齢化の進む日本で、市民バスが走らないということや医療費がすべて自己負担というのは、すごく厳しい問題となると思う。一人暮らしをしている高齢者も多くいる中で、病院に行く交通手段がなくなり、医療費をすべて自分で払わなければならなくなれば、病を抱えていても通い続けることのできない人も出てきてしまうと思う。税金は、生きていくためになくてはならないお金なのだ。

 また、災害復興時にも税金が使われる。私の住む南木曽町では、去年の七月に起こった土砂災害で、同じ中学生の一人が犠牲となってしまった。橋も流されてしまったため、仮橋が設置され、今も土砂の撤去が行われている。復興が進まずにいたら、またいつ起こるかわからない恐怖に怯えながら過ごしていただろう。でも、今はもうみんなが前を向いて、大きな一歩を踏み出している。税金は、もう二度と同じことを繰り返さないため、そして次の一歩を踏み出す力になってくれるということも学んだ。

 税について考えてみて、消費税を払うのがもったいないと感じていた自分が恥ずかしくなった。税金を払う事は損なんかではなく、すべて自分自身が生きていくため、笑顔でいるためのものなのだ。これからは、働いた収入から大切な税金を払っている多くの人達に感謝して、残りの学校生活を送っていきたい。そして、将来仕事に就いた時、全ての人々が笑顔で安心して暮らせるよう、自分も日本の社会を支える一員として税を納めていきたい。