夢は高額納税者

 税に関する話をすると、不満ばかりが聞こえてくるような気がします。消費税が上がることに反対する声や、政府が税金の無駄遣いをしているのではないかという批判など、挙げればきりがありません。納税は、国民の義務です。しかし、マイナスなイメージばかりが先行しています。そのため仕方なく納税しているという人が、多いのではないのでしょうか。けれども、私はこのことに少し違和感を覚えるのです。それは、高額納税者という存在を知ったからです。

 プロスポーツ選手や芸能人など、かけ離れた収入のある人たちは、普通の人の何倍もの税金を納めているそうです。例えば一億円収入があったとすると、そのうち四千五百万円は税金を納めるそうです。私はそれを聞いたときは、とても驚きました。収入の半分近く税金に消えてしまったら、働くことが虚しくならないのだろうかと思いました。しかし、母の言葉を聞いて、私の考えは大きく変わりました。

「私の夢は、高額納税者になることなの。」

母は、私たち兄弟三人を育てているので、結婚してからは、税金を納めてきませんでした。その間にたくさんの税金のお世話になったと言います。私は本を読むことが大好きだったので、一週間に九冊ずつ図書館から借りていました。一度計算したら年間五十万円以上になり、父が納めた税金より多かったそうです。自分が働いた収入ではそんなにたくさんの本を買えないし、置いておく場所もありません。それ以来母は、「(子育てがひと段落したら、税金を納める側になり、社会に貢献できる人になろう)。」と、心に決めているのだそうです。言われてみれば、スポーツ選手や芸能人たちは、向上心があり、絶えず上を目指しています。自分を高めることで、より社会に貢献できるなんて、素晴らしいことなのだなと、思いました。私が大人になったら、できるだけ税をたくさん納められる人になりたいです。自分が豊かになるだけでなく、社会全体が豊かになることへ貢献できるなんて、素晴らしいことだと思います。

 そのことに気が付けば、税に対するマイナスなイメージは、無くなっていくのではないでしょうか。私たち全員が、税をプラスの角度から捉えることで、税を払うことを義務ではなく、誇りだと考えられるようになればいいなと思います。

 最後に、中学生の私たちが納税者になるまでに、せめてできることを考えてみました。学校の備品一つ一つ、校庭の隅々まで、税金で賄われたものばかりです。税金を納めてくれているすべての人達からの贈り物です。大切に使わせていただこう。そう、心に誓いました。